今シーズンのJ1リーグも、残り5試合となった。先週末には首位ヴィッセル神戸と2位横浜F・マリノスによる頂上決戦があった。この一戦から見えてきたタイトルの行方について、サッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。
■突然変わった流れ
もしも、後半も前半と同じように神戸がゲームを支配して試合を終わらせることができていたとするなら(たとえ追加点が入らなかったとしても)「神戸が優勝に大きく近づいた」という確信が得られたことだろう。
ところが、後半は形勢が一転してしまい、横浜FMが猛攻を仕掛けて、神戸がなんとか中央の守りを固めてしのぎ切ったという展開になってしまったのだ。
ゲームの流れが変わった原因は2つ考えられる。
ひとつは、後半の立ち上がりの神戸の戦い方だ。
後半の立ち上がり、試合はオープンな攻め合いとなった。
46分、神戸の武藤が遠目から思い切ってシュートを放ってCKを獲得。49分には横浜FMの西村がドリブルで持ち上がった。51分には神戸が中央から右、中、左とサイドを変えて最後は武藤が巻いたシュートを狙う(GK)。52分、横浜FMの左サイドバック永田勝也からのボールを起点にエウベル、渡辺皓太でチャンス。55分、神戸の飯野がロングドリブルで横浜FMゴール前まで進入。53分には横浜FMの右サイドバック松原健からのロングボールに西村が合わせる……。
短い時間帯に両チームが攻撃の形を作り続けた……。
どういうメカニズムでこういう展開になってしまったのかは分からないが、神戸としてはけっして良い流れではなかった。
前半は相手の攻撃を断ち切った上でチャンスを有効に生かして2点リードしたのだ。その2点のリードを生かして、後半は相手の攻めを抑えることを考えて戦うべきだった。追加点を生み出せなくても、2点リードのままゲームを終わらせればよかったのだ。