後藤健生の「蹴球放浪記」第181回「シャトルを間違えて放浪したバンコク大会」の巻(2)選手村でアリ・ダエイにインタビューの画像
バンコク・アジア大会のADカード 提供/後藤健生

 現在、アジア競技大会が行われている。サッカーだけではなく、水泳や柔道など、多くの種目で日本代表の選手たちが奮闘している。蹴球放浪家・後藤健生も、もちろんアジア大会は取材してきた。中でもバンコク開催の大会には、忘れられない思い出が詰まっている。

■他競技も楽しむ

 アジア大会というのは楽しい大会でした。

 ワールドカップやアジアカップと違って基本的には1都市での開催なので、毎日、試合を見ることができますし、サッカーがない日には他競技も観戦できます。しかも、オリンピックやワールドカップと違って、記者の数も少ないですから、記者席もたいていはガラガラ。かなり気楽に行動できるというわけです。

 しかも、ADカードを持っていると、競技場とメディアセンターを結ぶシャトルバスに乗れますから、スタジアムが遠くても座ったままで移動できるのです。

 12月13日の日曜日には、どういうわけか、女子も含めてサッカーの試合がありませんでした。そこで、他の競技を見に行こうと思ってスケジュールを見ていたら、陸上競技があったのです。

 陸上競技はタマサート大学内のスタジアムが会場でした。バンコク中心街からは30キロ以上あるので移動が大変ですが、メディア用シャトルに乗れば、競技場の前まで連れて行ってもらえます。

 競技場に到着しました。細かなスケジュールは知らないで行ったのですが、到着してすぐに男子100メートルの準決勝が始まりました。

 伊東浩司さんが出てきました。スタートと同時に飛び出した伊東がそのままゴール。「うわっ、速っ!」とビックリしていると、記録は10秒00。当時の日本新記録でした。

  1. 1
  2. 2
  3. 3