国立競技場で、9月24日に湘南のホームゲームとして行われた湘南ベルマーレ対川崎フロンターレ戦でのこと。
前半34分の瀬川祐輔へのファールをめぐり、PKの可能性をVARがチェックしていた時のことだ。「PKはおれが蹴る」とばかりにボールを抱えるレアンドロ・ダミアンに山田新が近づいて何事か話しかけていた。
PKを巡る相談なのだろうとは思ったが、「チームとしてPKは山田新が蹴る」という約束事があるからこそ、ダミアンからボールを取り返そうとしているのだろうと思っていた。
この場面を振り返る山田は、ダミアンに対し「蹴らせてくれと」と話しかけていたという。どうしても「蹴りたかった」と話す山田は、その一方でダミアンの苦しさもわかっていた。
「今年、ダミアンも点取れてなかったので。そこのところで彼の意見を尊重して、譲りました」
そんな山田の優しさに感心しつつ、チームからの指示はなかったのだと理解したが、念のため確認してみた。
「そうですね、ベンチから……分からないです」と話し始めた山田は、「(ベンチに)聞いたらダミアンって言いそうだったんで。ベンチは見ないようにしていました」と苦笑い。そこまでして蹴りたかった山田のゴールへの執念はプロとしては必要なものだとも言える。