サッカー日本代表が、9月の活動を終えた。ヨーロッパへと乗り込み、ドイツ、トルコという強国にともに4得点で快勝。この初秋の実りはどれほどの価値があり、この先の蓄えになっていくのか。ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が徹底的に語り合った。
■三笘の存在感
――ドイツ戦では右サイドが躍動していましたが、左サイドでは三笘薫が思うようにプレーできなかった印象です。
大住 三笘はかなりマークされていたと思うんだ。
後藤 ドイツがすごく気にしていたね。
大住 ヨシュア・キミヒは中盤に入ると思っていたから、右サイドバックで起用されたことにびっくりした。やはり、三笘を抑えなきゃという意識があったんだろうね。そう警戒させただけでも、日本としては随分有利になったと思う。見ていて、確かにドイツ代表の中で三笘を止められそうなのはキミヒくらいしかいないかな、って思ったよ。かなりもろいDFが多いからね。
後藤 ドイツの守備は、去年から全然良くなっていなかったよね。キミヒを守備の仕事に専念させたのは、三笘の功績。得点場面でも、三笘がいる左サイドで仕掛けてから右に展開してたでしょ。
大住 三笘のところに入って、仕掛けると見せかけてから下げたところで、冨安健洋が素晴らしいパスを右に展開して、ゴールにつながったからね。
後藤 今回は三笘自身が抜け出して得点という形はなかったけど、相手の注意を引きつけるという意味で非常に役に立ったよね。
大住 あまりに有名になっている三笘に相手が引っ張られるというのは、日本にとってはプラスであって、自分で抜いていく回数が少ないからといってマイナスではないと思うんだよね。
後藤 ドイツ代表がそこまで気にしてくれる選手が日本に現れたというのは画期的だよね。