そこまでボランチが主体的にボールを動かせていた訳ではないが、それは4ー1ー4ー1をベースとするトルコの守り方との噛み合わせも影響していた。コンビを組んだ田中碧とは「お互い声かけあって、できるだけ近い距離感でやろうと話していた」というが、ビルドアップはある程度、センターバックとサイドバックに任せて、前目にポジションを取ることも多かった。
「何回かいいところでボールを貰えて。あとはボールワークのところで、もう少し丁寧に、簡単に失わずに…アシストできるシーンもありましたし、そういったところでももっともっとこだわっていかないといけない」
そうした反省材料はあるが、トータルすれば先制点のミドルシュートも含めて高評価を与えられるパフォーマンスだったと言える。ただ、3−0になってからのゲーム運びで、うまくチームを締めることができなかったことなどはボランチとして、局面でボールに絡むプレー以外にも発揮していくべきところではある。その指標になるのは浦和レッズのOBでもある代表キャプテンの遠藤航だ。
フル出場でドイツ戦の大勝を支えた遠藤は中2日だったが、伊藤敦樹に代わってピッチに立つと、後半から出ていた10番のハカン・チャルハノールを中心としたトルコの攻撃を柔軟かつ力強いディフェンスで封じた。
「やっぱりワタルさんの存在感というのは自分が目指すべきところだと思いますし、あのぐらいの存在感を守備で出して、攻撃もより前に出ていくことができれば、もっともっと怖い選手になれると思う」
この2週間の活動の中でも、遠藤からは学ぶところは多かったというが、代表に入るだけでなく、主力として認められるには追い付き、やがて追い越していかないといけない。そのためにも「盗めるところは盗んで、成長できるように」と意気込む。当然、プレミアリーグのリバプールに所属する遠藤と日頃のステージは違うが、「あのぐらいの存在感をまずは自チームで出して、また代表に選ばれて、代表でも出せるような選手になって行きたい」と伊藤は語る。