サッカー日本代表はドイツ代表と対戦し、4-1の快勝を収めた。昨年のカタール・ワールドカップでの顔合わせに続く、強国相手の連勝だ。この勝利には大きな意味があり、また新たな疑問も湧き上がる。サッカージャーナリスト・後藤健生が、ドイツ戦と「その後」について考察する。
■過去最高のパフォーマンス
この試合で、これまでと違う“味”が加わったのは、ワントップで起用された上田綺世の存在だった。
試合直後のフラッシュインタビューで自身が語ったように、上田は過去の日本代表でのプレーの中で最高のパフォーマンスを見せた。前線でボールを収めるポストプレーを何度か見せたのだ。
前線でワントップがボールを収めて時間を作ってくれると、チームの戦術の幅は大きくなる。
だが、大迫勇也がチームを離れて以来、日本代表にはポストプレーをこなせる選手が不在となってしまった。
そのため、日本は前線に走力のある浅野拓磨や前田大然などを起用してきた。そして、それは格上の相手に引き気味に戦い、カウンターを狙う戦い方としても合理的な選択だったし、強豪国の屈強なDFを相手に日本が対抗するためにも良い選択だった。
カタール・ワールドカップでのドイツやスペイン相手の逆転劇は、こうした“走るFW”によってもたらされたものだ。
だが、9月9日のドイツ戦では上田がしっかりとポスト役をこなし、前線でタメができたので、2列目、3列目の選手が攻撃に加わる時間が生まれた。また、守備に終われる場面でも、前線でFWが持ちこたえてくれれば、守備組織を立て直すための時間が生まれる。
「やはり、前線にポストプレーができる選手の存在は重要だ」。そんな思いを抱かせるに足る上田のパフォーマンスだった。
残念ながら上田は負傷のためにチームを離脱。トルコ戦での再試験はできなくなってしまったが、上田の成長は代表の将来に向けての明るい材料になった。