■「頭を使ってできた」

 さらに、守備の場面でも余裕を見せた対応を見せていた。鬼木監督から守備の重要性を説かれたうえでピッチに送り込まれ、特に、「42番にやらせないように」との指示を受けていた。佐々木はその指示を忠実に実行してみせたが、「去年もやってたんで、ある程度特徴は分かってました。なので、しっかりゼロで終われて良かったなと思います」と振り返る。

 具体的には、「ああいうタイプの選手は縦に行きたいことが多いんです。なので、縦を空けながら自分も縦に行ける準備をしていた」という。相手もその対応に気づいており、その結果、「相手があまり縦に行けないシーンを作れた」という。「頭を使ってできた」と笑顔を見せた佐々木は、守備面でも成長を感じていた。

 佐々木自身、「めちゃくちゃしびれる展開でした。緊張しました」と話すこのACLでの試合。それでも、「去年もやってる相手ですし、まず自分のマッチアップの相手がやっぱ足が速いっていうところと、相手は国内でずっと攻撃をしていて守備をする展開がなかなかない」と冷静に判断したうえで、プレーすることができた。

 ちなみに、この試合に大好きな焼き海苔は持ってきていない。「すぐに帰るんで、いいかなと思って」と理由を話すが、それでも、『カルパス』といつも愛用しているシャンプー、そして、アイマスクは持ってきた。『カルパス』を「ずっとぼりぼり食べてます」と話すように異国でもマイペースを保てたことで、大舞台でも自分のプレーができたのかもしれない。

(取材・文/中地拓也)

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