■「トミはトップ・オブ・トップでやっている選手」
バイエルン勢を誰よりも知り尽している男は、その特徴を徹底的に頭に叩き込んで、代表に合流した。その経験値と知識の豊富さは日本の大きな助けになるはずだ。
板倉にとって追い風と言えるのは、同じ東京五輪世代の盟友・冨安健洋(アーセナル)がカタールW杯以来の代表復帰を果たしたことだろう。ここ数年間はお互いがケガを繰り返したこともあり、2人が万全の状態で揃うのはかなり久しぶり。森保一監督にとっても心強い材料と言える。
「トミはトップ・オブ・トップでやっている選手ですし、普段から見ていても非常に高いレベルでやっているなと感じる。どういう組み合わせになるか全然分からないですけど、誰と組んだとしても積極的にやっていきたい」と板倉は冨安復帰によって起きる守備陣の変化にも柔軟に対応していく構えだ。
3・6月シリーズのように4バックをベースにするなら、板倉・冨安のセンターバックコンビもありえるし、前回ドイツ戦の後半のように3バックから入るなら、谷口彰悟(アルラーヤン)を加えた形になりそうだ。谷口もW杯では3バックの一角としていい仕事を見せていたから、スムーズに適応できるのではないか。
2023年に入って1勝1分3敗と結果が出ていないドイツは目下、崖っぷちに立たされている。再び日本に敗れるようなことがあれば、フリック監督の去就問題再燃は必至。それだけに凄まじい迫力でぶつかってくるということになる。
それを日本の最終ラインが確実に跳ね返し、零封することができれば、2026年北中米W杯での躍進も見えてくる。板倉にはそのけん引役として、日本守備陣に圧倒的な安定感をもたらしてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)