「英国の4協会プラスFIFA」という構図は、ものすごく偏ったものに思えるかもしれない。しかしルール改正の決議をする投票権は、英国4協会が各1票であるのに対し、FIFAには4票が与えられている。ルール改正の決議には3分の2以上(6票)が必要なので、英国4協会だけでも、またFIFA単独でも決められない。FIFAは、傘下の211協会から4協会を除いた207協会を代表する形でIFABに参加している。見かけは非常にアンバランスだが、「サッカーの母国」に敬意を表しつつ、実際にはIFABはバランスの取れた「競技ルール検討組織」になっているのではないだろうか。

■200ページ超から88ページへ

 さて、そのIFABが、ことし3月に『サッカー・ルール~競技規則簡易版~』を発行した。IFABは毎年2月から3月にかけて「年次総会」を開き、そこで決議したルール改正を6月から施行するに当たって、新シーズンに向けた「ルールブック」を発行している。サッカーのルールは第17条までしかなく、「最もシンプルなスポーツルール」と言われているものの、それでも解釈に幅が出ないように厳格さを期した表現は平易ではなく、200ページを超すものとなっている。

 それを一般のファンにもわかりやすい言葉を使い、簡潔な形にしようとしたのが、今回の『サッカー・ルール~競技規則簡易版~』である。表紙を含め全88ページ。英語名は『FOOTBALL RULES~Simplified Laws of the Game~』。この記事は、ここでようやく今回の本題にはいる。

(2)へ続く
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