大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第115回「『法』か『規則』か」(1)サッカー界の権威の一般ファンへの歩み寄りの画像
左が3月に発行された「簡易版」、右は現行の公式「競技規則」 (c) IFAB.jpg

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「サッカーの法律」って何?

■サッカーを統括する組織

 この地球上にあまねく広まっているスポーツ、それがサッカーであることに異論をはさむ人は多くはないだろう。

 現在、人類が何種類のスポーツを楽しんでいるのか、それを正確に数えるのは難しい。2021年夏に行われた東京オリンピックでは、「競技」として46種類のピクトグラムが使われた。非五輪競技や、ある競技から派生した競技、さらには、さまざまな障がい者のための競技などを含めると、優に数百を超すのは間違いない。サッカーは、競技人口とファンの多さにおいてその頂点にある。

 そのサッカーのルールを取り扱う団体が「国際サッカー評議会(IFAB)」という組織であることを知っている人も多いだろう。世界のサッカーを統括する唯一の組織は「国際サッカー連盟(FIFA)」であるが、そのなかの機関ではない、IFABはFIFAからは独立した法人組織であり、サッカーのルールに関する話し合いを行い、ルール改正を決議する。FIFAは、IFABが制定した競技ルールを使って世界のサッカーを統括しているのである。

 IFABは5つの団体で構成されている、そのうち4つは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドの各国サッカー協会である。そして残りのひとつがFIFAとなっている。

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