■左サイドのライバル候補

 一案として挙げられるのが、セルティックで左FWとして目に見える進化を遂げている前田大然の起用だ。今回も練習ではずっと左サイドに置いてシュート練習などを行っていたが、前田が入ったのはこれまでと同じ最前線。本人は「左はまだまだだと思っているので、もっと磨きたい」とスペシャリストの三笘と差があることを認めていたが、元オーストラリア代表のハリー・キューウェル・コーチ直伝の打開力を見てみたかったのは確かだ。

 中村敬斗にしても「三笘選手は世界一のリーグで得点やアシスト、それ以外のプレーでも違いを見せている選手だと思うので、自分はまだ比較対象ではない。ライバルという感覚はないです」と謙遜していたが、ここからもっと実績を積み上げ、打開力に磨きをかける必要がある。

 東京五輪では三笘を横に置いてレギュラーをつかんでいた相馬勇紀(カーザ・ピア)も今回は右SBでメインに使われていて、確かに三笘を脅かす圧倒的な存在が出てきていないのは事実だ。

 そういったライバルたちが切磋琢磨し、三笘に取って代わるだけの存在感を示してこそ、本当の意味で日本代表は強くなれる。各ポジションの選手層は間違いなく厚くなっているが、三笘クラスの選手があと数枚出てきたら、2026年北中米W杯での8強入りは確実に果たせるだろうし、新キャプテン・遠藤航(シュツットガルト)が言う「てっぺん」も目指せるかもしれない。

 いずれにしても、攻撃陣をリードする三笘がどの境地まで辿り着くかによって、日本代表の動向も大きく変わってくる。彼にはプレミア2シーズン目となる来季にさらなる成長を遂げてほしいものである。

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