■ゴールを重ねるサイドアタッカー

 過去の得点ランキング上位選手は、上記2人のようにFWがほとんどだった。37ゴールの本田圭佑、31ゴールの香川真司(C大阪)はトップ下を主戦場にしていた選手だが、サイドアタッカーがゴールを重ねるという例は非常に珍しい。

「僕自身、ドリブルだけになってしまうところもあったので、そういうところも考えながらうまくクロスも交えながら、後ろとの連携も使いながらやるように意識しました。洋輝が後ろで待ってくれたんで、相手2人を引きつけてクロスの形も狙ってましたし、そういうところはよかったなと思います」と本人もプレーの幅が広がったことを実感している様子だ。

 その見解通り、単に外を崩すだけではなく、伊藤やインサイドハーフ(IH)の旗手怜央(セルティック)や守田英正スポルティング・リスボン)と絡んで敵を引き出したり、ドリブルで切れ込んでラストパスを送ることもできていた。伊東の3点目も三笘の好アシストによって生まれたもの。

 多彩な能力を示す背番号7に森保一監督も強い信頼を寄せ、新体制発足後は全試合で先発起用している。「戦術・三笘」という言葉も口にした通り、指揮官は異彩を放っている26歳のサイドアタッカーを軸に据え、次のW杯を目指していこうとしているのだろう。

(取材・文/元川悦子)

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