■「曺貴裁チルドレン」という共通点

 考えてみれば当然かもしれない。ふたりとも「曺貴裁チルドレン」なのである。現在京都の監督を務める曺貴裁は、2005年から2019年まで湘南ベルマーレに在籍し、U-18の監督から2009年にトップチーム・コーチとなり、2012年から監督を務めた。遠藤は湘南のU-18に加入した2008年から2016年に浦和に移籍するまで曺貴裁の指導の下でプレーしたことになる。

 そして曺貴裁は川崎がプロ2年目を迎えた2021年に京都の監督に着任した。1年目の後半から試合出場機会が増えていた川崎を、曺貴裁監督は以後レギュラーに定着させ、川崎を「アンカー」として使うことで中盤に力を与え、今季は21歳の若さでキャプテンにまで指名したのである。湘南の監督に就任した2012年に、曺貴裁監督がキャプテンに指名したのは、19歳になったばかりの遠藤だった。

 私は、守備技術の向上と、その技術を裏打ちする粘り強いメンタリティーこそ、今後の日本サッカーの発展の重要なカギと考えている。無鉄砲に突っ込むのではなく、状況を判断し、駆け引きし、そして粘り強くついていって、チャンスを見逃さずにボール奪取技術を駆使する守備ができるようになれば、自然に攻撃側も対応せざるを得ず、攻撃能力も上がるはずだ。

 そこに必要なのは、「強さ」よりも「技術」である。体を寄せ、相手の足からボールが離れた瞬間を見逃さずにつつき、あるいは自分の体をねじこむ。さらにまた、そのチャンスがくるまで冷静に粘り強くついていく「メンタリティー」も、欠くことのできない要素だ。ポジションに関係なく、そうした技術を備えた選手を育てていかなければならない。

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