■ダミアンの突然の登場に……

 冨田ディレクターは、「選手や戦術は中継や多くの専門媒体で報じられているが、だからこそ、ふだんはなかなかスポットライトを浴びることのない運営スタッフの奮闘ぶりに注目したかった」と、熱く説明する。

 本誌記者も等々力競技場には試合ごとに通っているが、これまで混乱はおろかスムーズに滞りなく試合運営が行われていることを実感しているだけに、その発言は心に響くものがあった。多くのイベントを実施してきた同クラブだが、どれも盛り上がったうえでの成功裏に終わっており、観客や関わった人が笑顔で帰途につく。多くの人が慌ただしく出入りする等々力競技場の内部も常に安全で、そして清潔。“外で問題が発生した”と慌てて取材に行った記憶もない。唯一混乱したのは、メーカブーの誕生の瞬間くらいだろう。

 しかし、その“秩序”や盛り上がりはフロンターレスタッフやボランティア、そして、サポーターによって成り立っていることがこの番組から分かる。中でも冨田ディレクターが、思わず唸ってしまった場面があるという。それは、レアンドロ・ダミアンが突如現れた際の対応だ。

 川崎の2大エースの1人であるダミアンは、昨年8月の試合で負傷。以来、長期離脱を余儀なくされており、今季も当初は試合に絡むことができていなかった。その負傷状況も含めてサポーターが心配を積もらせる中、なんと、等々力競技場にダミアンが駆け付けたのだ。そればかりか、ピッチレベルに出て手を振りながらサポーターに自らの姿を久々に見せたのである。

 冨田ディレクターによると、この時、戦線離脱していたダミアンを元気づけるため、そして、スタジアムでの一体感を作り上げるため、スタッフの一人が急いで携帯電話を手に持って突発的にある行動に出たという。「その行動というのが……」、ゴクリと唾を飲みながら話の続きを聞こうと言葉を発した本誌記者だったが、「それは、ぜひ放送で見てください」(冨田ディレクター)とニンマリ。あの場面が熱い現場だったことを知っているだけに、悔しいが、これは放送で確認するしかない。

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