■「銀の河」の由来

「ラプラタ(La Plata)」という市名は、もちろん目の前を流れる大河ラプラタ川から採ったものです。

「Rio de La Plata」。スペイン語で「Rio」が「川」。「Plata」は「銀」。ですから、川の名は「銀の河」ということになります。

 ブラジル南部から流れてくる大河パラナ川にパラグアイ川やウルグアイ川が合流。「ティグレ」と呼ばれるブエノスアイレス北西の三角州を過ぎると川幅は大きく広がり、大西洋に注ぎ込むあたりでは100キロ近くになります。地図を見ると川ではなくて湾のようにも思えますが、水質を調べればそこはまだ淡水で茶色く濁った川の水なのです。

 川幅が数10キロもあるのですから、対岸はほとんど見えません(ブエノスアイレスから対岸が見えるか、見えないかという論争があるくらいです)。

 では、なぜこの川は「銀の河」なのでしょうか?

 1516年に、スペインの探検家フアン・デ・ソリスが南米大陸東岸を南下して、ヨーロッパ人として初めてこの地に辿り着きます。デ・ソリスは、この大きな河口を見て、最初はそれが海であって、大陸の西側の海(太平洋)に続いていると思ったらしいのですが、すぐにそれは川であることが分かりました。そして、近隣住民が銀のアクセサリーを身に着けているのを見て、この川に銀の産地があると思い込んで(願望を込めて)「銀の河」と名付けたのです(実際にはラプラタ水系に銀山はありませんでした)。

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