5月4日、青空に恵まれた麻生グラウンドで川崎フロンターレの選手が練習に取り組んだ。前日にアウェイでの京都戦をこなしたばかりとあって、試合に出場した選手の多くはリカバリーメニューに。当初はリカバリー組に入る予定だったが全体練習への参加を直訴した大南拓磨と山田新に加え、その他の選手はハードなトレーニングメニューをこなした。
その練習を終えてクラブハウスに戻る瀬川祐輔に取材をしていたときのことだ。記者の左隣に、急に人が入ってきた。大島僚太がサンガスタジアムで小林悠へのパスを送った際のように間接視野で確認したところ、それは、負傷で離脱していたはずの田邉秀斗だった。
これには瀬川も、話すのを中断して「調子狂いますね」と苦笑い。さらに、「(試合で)秀斗からのボールを待っているんですけど、向こう5か月くらいは待たないと」とも語って、報道陣の笑い声を誘ってみせた。
その田邉は当初、頭を振りながら“フンフン”とうなずいていたが、一度、その場を離れると、今度はICレコーダーを持ってきて瀬川に向けたのだ。
そこで、あえて知らぬふりをして離脱中の田邉の最近の様子について聞いてみると、「遅く来て、でんと座って、歩いて……歩いてもないですもんね。なんのために来てるか分からない。思った以上に重症だった」と、本人を前にボケてみせた。急にいじられることとなった田邉だったが、先輩の愛のあるいじりに笑顔を見せたのだった。
後輩のおふざけに対し、先輩がきっちりボケて返す――今季から加入した瀬川と、3月にレンタル先から緊急復帰した田邉だが、とてもいい関係にあることを感じさせる一コマだった。