■「どこをやっていくことが一番フロンターレにとっていいの」
その山根が、ガンバ大阪戦を試合後に見返して感じたことがあった。「見返すと正直一本通っていればとか、ここがつながっていればチャンスになっていただろうなってシーンはあるし、自分の中でもここで出してほしいなというのもある」と、あと一歩という場面が多かったというのだ。シュート数こそ4本でそこにばかりクローズアップされるが、チャンスに至る萌芽はあったという。
だからこそ、「それは自分が出し手になったときもそうだと思うので、本当にそういうちょっとのところかなと。そんなに深刻に考えすぎても良くないかなと思うので、頭の中を1回クリアにしてどこをやっていくことが一番フロンターレにとっていいのか、をトライしていくことが大事かなと思います」とも話すのだ。
頼もしさを感じさせる山根だが、それはチームメイトからの感じ方でも同じ。選手から話を聞いていると、山根が出す「声」の存在感や意味としての大きさについて耳にする機会がとても多い。
実際、山根自身も意思の共有について「もちろんしてます」と語ったうえで、「同じシチュエーションというのはないですけど、こういう雰囲気の時はここにいてほしいという話はしますし、こういうアクションをしてほしいというのもある」と説明。そのうえで、「あとはそこに通す質というのは、突き詰めなきゃいけない」と言い切る。
「自分がチームのために貢献できるようにということだけを考えてやっています」と話す13番が、等々力競技場に勝利の笑顔をもたらす。
(取材・文/中地拓也)