サッカーはワールドワイドなスポーツへと成長した。一方で、本場のヨーロッパを中心に均一化している面もある。その中で、日本は日本らしさを貫くことが強化へのヒントになるかもしれない。久保建英のプレーが示唆する可能性を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■小さくなる国ごとの差異
現代の日本人は、「なんば」もできないし、すべての日本人が武術や武道に通じているわけではない。
しかし、日本人の体の使い方には今でも西洋人のそれとは違う部分が残っている。
街を歩いている一般の日本人の歩き方を見ていると、西洋人の歩く姿とは明らかに違う。膝を完全に伸ばさずに、比較的小股で歩く人が多いからだ(つまり、あまり恰好が良くない)。西洋式の服を来て歩くのであれば、もう少し颯爽と歩いてほしいのだが、しかし、それは民族固有の体の動かし方の影響が残っているからなのだろうから、すべて否定すべきものとは思えない。
現代のサッカーは、ヨーロッパ中心の傾向が強まっている。
もともとがヨーロッパで生まれたスポーツだから当たり前なのではあるが、20世紀の半ばまでに全世界に普及したこのスポーツは各国それぞれのスタイルを発展させた。
しかし、最近は全世界の名選手がヨーロッパのクラブでプレーするようになり、各国代表も同じような戦術、同じようなスタイルで戦うことが多くなり、国ごとの違いが非常に小さくなっている。