後藤健生の「蹴球放浪記」第147回「“廃スタジアム巡り”も立派な趣味」の巻(1) ポルトガルの子どもたちを育むレンガ塀に囲まれたグラウンドの画像
ポルト対ラツィオの入場券 アンタスでの試合は豪雨でずぶ濡れになった 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生にとって、サイドトリップも取材の重要な一環だ。前回は歴史を知るフィールドワークを紹介したが、他にもミッションはある。スタジアムの第二の人生を確認することだ。

■FCポルトの本拠地

 前回は、古いスタジアムを訪れたという話でしたが、もう一つの楽しみはもう使われなくなってしまって取り壊されてしまったスタジアムの跡地を訪れることです。

 使われなくなった鉄道線路の跡を巡る「廃線跡巡り」というのは、日本でも趣味として認知されているようですが、こちらは「廃スタジアム巡り」というわけです。

 たとえば、2003年に『サッカー批評』の取材でポルトガルのポルトに行った時にはFCポルトの古いスタジアムを訪れました。「FCポルトの古いスタジアム」と聞いて「アンタス」を思い出した方は、ポルトガル・サッカーに詳しい方ですね。

 2004年にポルトガルでEURO(欧州選手権)が開催され、各地に近代的なスタジアムが建設されました。現在、FCポルトが使用しているエスタディオ・ド・ドラゴンもその一つです。ドラゴンが建設される前に使われていたのが、エスタディオ・ダス・アンタスです。

 屋根がほとんどない古いいスタジアムでした。FCポルトはアンタスを取り壊して、そこにオフィスビルを建設。オフィスビルにはポルト市交通局などが入居して、FCポルトは家賃収入を得られるようになりました。そして、アンタスの西側にあったトレーニング場に新スタジアムを建設したのです。

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