■尽くされていない議論
30年前に発足した当時、日本でプロサッカーリーグが成功するかどうかが危ぶまれていた。そんな状況だったので、Jリーグはヨーロッパのような「自由競争」原理を導入しなかった。クラブの呼称やユニフォームの色までリーグ主導で決定して、「共存共栄」を目指す“護送船団方式”が採用された。実際、Jリーグの規約はヨーロッパのサッカー・リーグだけではなく、アメリカのプロ・スポーツも参考にして作られた。
それから30年。Jリーグは、ようやくよりヨーロッパ的な「自由競争」原理の導入に踏み切ろうとしているのである。
だが、この「結果配分」中心へのシフトの問題についても世間の関心は低いようで、反対論はあまり聞こえてこない。
しかし、議論すべき論点はいくらでもあるはずだ。
「ビッグクラブ」方式は日本に相応しいのか? 「結果配分」に切りかえれば、本当にJリーグの強豪クラブは「ビッグクラブ」化できるのか? 弱小クラブへの影響はどうなるのか? 「自由競争」が理想だとしても、時期尚早なのではないのか? 「ヨーロッパのサッカー界がそうだから」というのでは、あまりに論拠が薄い。
Jリーグにとって、それが正しい道なのか否か、本当なら大いに議論すべき問題だと思うのだが……。