■60クラブへ至るまでの道のり

 1980年代の後半、ずっとアマチュアの枠内で活動してきたサッカー界が「プロ化」の方向に舵を切り、「日本プロサッカーリーグ」(通称「Jリーグ」)が発足したものの、当時はそれが本当に成功するのかどうか、川淵三郎チェアマン自身も含めて誰も確信は持てないでいた。

 しかし、Jリーグが開幕すると「Jリーグ・ブーム」という社会現象が起きて、入場券の争奪戦が激しくなり(大きなスタジアムは国立競技場くらいしかなかったからでもある)、「J」と名前が付けばプレシーズンマッチを含めてすべての試合が満員になった。

 だが、そんなブームが長続きするはずもなく、観客動員の減少に見舞われ、1998年には「オリジナル・テン」の一つ、横浜フリューゲルスが消滅(正式には横浜マリノスとの合併)するというショッキングな事件も起こった(クラブ経営よりも、親会社の経営状態が原因だったが)。

 だが、その後はJリーグの不断の努力が実り、また日本代表の強化も進んで人気は次第に定着。「ブーム」の当時のような一般国民を巻き込んだ爆発的な人気ではなく、固定ファン(サポーター)がスタンドを埋めるようになったのだ。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが始まる前の2019年シーズンにはJ1リーグの平均観客動員数が2万人を超えるまでになっていた(新シーズンのコロナ対策がどうなるのかはまだ決まっていないが、大幅に制限が緩和されることは間違いないので、どこまで動員数が回復するかは注目したい)。

 そして、Jリーグ加盟クラブは順調に増加し続け、ついに60クラブを数えるまでになったのだ。

(2)へ続く
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