■昔の海外旅行の大問題
昔の海外旅行では「お金をどうやって持っていくか」が大きな問題でした。「円で持っていくよりも、米ドルに替えて持っていく方がレートが良い」とか、「この国ではキャッシュよりもトラベラーズチェックにすべきだ」とか言われて悩んだものです。「銀行と両替商とどちらが得か」も国によって違いました。若い方は「トラベラーズチェック」なんて知らないでしょうね。旅行者の両替のために銀行が発行する小切手で、サインをすると現地通貨に替えられるのです。
1980年にヨーロッパ選手権(EURO)を観戦するためにイタリアに行った時には、両替で苦労した思い出があります。
当時は最も安くヨーロッパに行けるのは大韓航空(KAL)でした。ソウル経由でパリのオルリー空港に着いたのが6月14日の朝でした。
そして、パリ市内で1日過ごしてから、リヨン駅発の夜行列車のクシェット(簡易寝台)でトリノに向かいました。今だったら、格安航空かTGVを使うでしょうが、当時は格安航空など発達していませんでしたし、TGVが開業するのは翌1981年のことです。
何もかもが、今の旅行とは違うのです。
今ではEU域内では国境検査などありません。しかし、国境検査の廃止を決めた「シェンゲン協定」が締結されるのは1985年のこと。当時は、フランスからイタリアに入る時も車内を国境管理官が回ってきてパスポートをチェックして入国スタンプを捺したりしたのです。