世界の先例にならうべき「学生チームのプロリーグ加盟」【世界へ通じる育成システム「大学サッカー」大改革論】(3)の画像
学生がプロ相手にも戦えることは、天皇杯で証明済みだ 撮影:中地拓也

 2023年の日本サッカーがスタートしている。元日恒例の天皇杯決勝はなかったが、大学サッカーの決勝が行われた。大学サッカーは、世界でも希有な日本の重要な選手育成システムにもなっている。その日本サッカー成長の「鍵」について、サッカージャーナリスト・後藤健生が大改革論を訴える。

■レベルに比例しない注目度

 Jリーグ発足直後には「大学サッカー不要論」すら囁かれた時代があったが、大学サッカー関係者の努力によって環境が改善され、プロ予備軍の受け皿として機能するようになってきているのだ。

 それに伴って、大学サッカーの競技レベルも上がっている。大学サッカーの上位チームの競技力はJ3リーグより上。おそらく、J2リーグ中位程度なのではないだろうか。だからこそ、元日の決勝戦はハイレベルの戦いとなった。大学サッカーをリードする立場にある関東勢、関西勢が次々と脱落したにも関わらず、北信越リーグ所属の新潟医療福祉大学と関東の新興勢力の桐蔭横浜大学がこうした戦いを展開できたことも意義深い。

 新潟医療福祉大学は、2017年以来、桐光学園高校を強豪校に育て上げた佐熊裕和氏が率いるチームで、アルビレックス新潟と提携関係を結んで強化を進めている。

 ところが、冒頭にも書いたように大学サッカーは関係者以外からほとんど注目されないまま行われている。

 J1リーグには2万人もの観客が集まり、高校サッカーも決勝戦では5万人もの観客を集めるのに、インカレ決勝は動員をかけても1万2000人止まりというのが現状なのだ。

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