■大学チームをJリーグへ
もちろん、試合のレベルが高いのであれば、育成のためには大きな問題ではないかもしれない。しかし、多くの観客の前でプレーすることによって緊張感や責任感を感じることもできるはずで、20歳前後にそういうストレスのかかる環境での試合を経験することは、やはり必要なことなのではないだろうか。
大学サッカー関係者は競技レベルの向上に成功したのだから、次は一般のファンを動員することを考えるべきだろう。せっかくのハイレベルの試合を多くの人に見てもらえないのは、どう考えてももったいないことだ。
さらに、その考えを推し進めていけば、大学チームをさらに強化してJリーグ入りを目指してもいいのではないか。
強豪校は多くの指導者を擁しており、また、トレーニング施設などもJリーグ・クラブに遜色ないものをそろえている大学もある。また、新潟医療福祉大学がアルビレックス新潟と提携しているように、Jリーグ・クラブと関係を構築しているクラブもある。
それなら、さらに一歩進めて大学チーム自体がJリーグを目指してもいいのではないか?
もしJリーグ入りを目指すなら、卒業生の一部とプロ契約をするとか、あるいはプロ経験のある外国人選手を迎えてもいい。ヨーロッパや南米の選手の中には、引退後を考えて大学卒業資格の取得を望んでいる選手はいるはずで、そうした選手と契約することは可能だろう。
そうして、卒業生や外国人プロ選手と現役学生との混合チームはJリーグでプレーし、現役学生だけで学生リーグを戦う。これによって、試合数が増加すればさらに多くの選手にプレー機会を与えることもできる。
育成部門を“卒業”した選手が大学チームでプレー経験を積めるのは大切なことなのだが、大学の4年間は基本的には同年代の選手としかプレーできないことが大きな問題だ。若い選手は経験豊富な選手とともにプレーすることで多くのことを学べるはずなのだ。そうした意味でも、大学チームがJリーグに加盟することには大きな意義があると思う。