カタールワールドカップで、リオネル・メッシが所属するアルゼンチン代表は決勝進出を果たした。クロアチア代表を破ったこの試合の後には、うれしいサプライズも待っていた。
アルゼンチン代表が勝てば2大会ぶり、クロアチアが勝てば2大会連続となる決勝進出を懸け、強豪チームが激突した。この一戦で、プレイヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたのがアルゼンチンの背番号10、メッシだった。
前半34分には、フリアン・アルバレスが獲得したPKを冷静に決めて先制点をもたらした。リードを広げて迎えた後半24分には、ハーフウェーライン付近から右サイドで果敢にドリブルを仕掛ける。この大会で一気にその名を高めたクロアチア代表DFヨシュコ・グバルディオルが必死に食らいついてきたが、ボックス右で一旦足を止めた後、一気に加速。ゴール右を深くえぐり、アルバレスにラストパスを供給し、試合の行方を決定づける3点目を決めさせた。
メッシは、この大会が最後のW杯になると公言している。2014年の決勝で延長戦の末に敗れたファイナルの舞台を、自身の花道にする準備を整えた。
その活躍ぶりに、FIFAはプレイヤー・オブ・ザ・マッチへの選出を決めた。さらに、素敵なサプライズも用意していた。
今大会5戦連続のフル出場を果たした後、メッシは水分を取りながらスタジアム内部へと戻ってきた。スーツを着た人々に伴われて、この試合のMVPを表彰する場へと連れられていく。トロフィーが待つ場に表れたメッシは、思わず声を上げて笑った。プレゼンターとして赤いトロフィーを持って待っていたのは、親友の元アルゼンチン代表セルヒオ・アグエロだったのだ。
本来ならば、メッシと一緒に水色と白のユニフォームを着ているはずだった。だが昨年12月、33歳という若さで早すぎる引退を決断した。心臓の不調で、サッカーを続けることを断念せざるを得なくなったのだ
1歳年上のメッシにとっては、戦友である。2005年のワールドユースなど、年代別代表時代から、力を合わせて戦ってきた。2014年のブラジルW杯決勝でも、同じピッチに立っていたのだ。
そのかけがえのない友の登場に、メッシはまさに満面の笑みを浮かべる。ハグを交わしても笑みは止まらず、写真を撮るために笑顔をつくる必要もなかった。