■ブラジルの攻撃力を無力化
しかもクロアチアは日本を相手にした試合よりも安定した守備と活発な攻めを見せた。右サイドバックのヨシプ・ユラノビッッチが活発に攻め上がり、ブラジルを苦しめた。延長前半の終了間際にブラジルFWネイマールの見事なゴールで突き放された後、試合自体は完全にブラジルに支配されていたにもかかわらず、ワンチャンスを生かしてブルノ・ペトコビッチが同点にしたときには、鳥肌が立つ思いがした。
ブラジルはモドリッチを少しフリーにし過ぎたかもしれない。彼は守備時には「トップ下」の選手のように前線に残り、マイボールになるとDFラインの近くまで降りてきてボールを受け、さばいた。モドリッチが安定したパス回しをしたことで、クロアチアはブラジルから連続攻撃を受けずに済んだ。
ラウンド16の韓国戦まで圧倒的な力を見せ、多くの人が優勝候補の筆頭に挙げていたブラジルの攻撃を半ば無力化し、ネイマールのゴールまで決定的な形をつくらせなかったクロアチアの戦い、全員が連係し、球際で見せた魂のこもった競り合いは、心を打つものだった。
選手層は厚いとは言えず、攻撃もけっして華麗ではない。しかしクロアチアはワールドカップの舞台で「勝ち進む」ということだけにフォーカスし。それを2大会連続で実行している。ロシア大会では決勝戦まで進んだ。カタール大会では準決勝進出を決め、今回も7試合を戦うことになる。
日本のサッカーは、「クロアチアとの差」をしっかりと分析する必要があるように思う。