かつてイタリア代表として活躍したアンドレア・ピルロによる、現役時代と変わらないFKに国境を越えて驚きの声が広がっている。
ピルロは現役時代、「レジスタ」という言葉を一躍広めた世界的名手だった。
若い頃から高い技術を評価されていたが、本来のトップ下ではポジション争いもあって輝けない時間が続く。だが出場機会を求めてインテルから同じ街のライバルであるミランへと移籍すると、運命が開けた。カルロ・アンチェロッティ監督により1列下がったポジションで起用されると、正確なパスと戦術眼を活かして、希代のプレーメイカーへと成長を遂げたのだ。
その精緻なパスを繰り出す右足は、セットプレーでも重宝された。美しい弧を描く軌道、あるいは不規則に変化するボールなど、さまざまな球種を蹴り分け、ゴールネットを揺らしてきた。その数々の残像は、今も多くの人のまぶたに焼きついている。
そんなピルロは現在、指導者として活動。突然トップチームを預けられたユベントスでは調子をつかめぬままに終わったものの、2022-23シーズンはトルコのカラギュムリュクから声をかけられた。現在はトルコの国内トップリーグであるシュペル・リグで15位につけており、浮上の機会を狙っているところだ。
そんな中でクラブは6日、インスタグラムの公式アカウントで動画をアップ。1人の男がボールを蹴り、いとも簡単にゴールネットを揺らしている。キッカーは、ピルロ監督である。
ペナルティーエリアの前、ゴールほぼ正面に無造作にボールを置き、4歩下がる。時間を置くことなく、やや歩幅広く踏み込んで右足を振るうと、ボールはやや右に落ちながら鮮やかにゴール隅へと吸い込まれていった。腰を落として待ち構えていたGKは、呆然とボールを見送っている。