■総合力で足りなかったもの

――総合力勝負をして、それでも足りなかったものは何ですか。

後藤「4年前はカウンターでやられた反省が残った。今回の反省は、やはりPK戦は研究しなきゃいけないということ。1976年のヨーロッパ選手権でチェコスロバキアにPK負けしたドイツはその後、一生懸命に研究して、それからほとんどPK戦で負けなくなった。森保監督は選手にPKを蹴る順番を任せたと言っていたけど、そうじゃなくて相手のGKの分析も含めて科学的に詰めるべきだよ。それで大きな結果が変わってくるわけだから」

大住「選手に任せたというのは、残念だったよね。ベスト8が懸かっているわけだから。現代なら何年分もの相手PKのデータも、GKのデータも集められるんだよ。そういう準備をしていたら、最後にPK要員を交代で出すこともできたかもしれない。PKに対する執着がちょっと薄かったかな。選手がやりますと言ったからといって、蹴らせるというのは…」

後藤「PK戦に弱いイングランドが、そういう決め方をするんですよね。意気に感じて蹴らせるけど、ドイツは選手の調子、疲労度、相手GKとの相性などを含めて科学的に決めるわけですよ。もちろんそうすれば必ず勝てるというわけじゃないけど、勝つ可能性を少しでも上げるための努力をする。その上で負けたなら仕方ないけど、ちょっと今回のPK戦は残念だったな」

大住「僕自身、何十回もPK戦で勝ったり負けたりしてきた監督としての意見を言うと、やはり監督が自分で決めなきゃダメ。勇気をリスペクトするという心情は分かるんだけどね」

後藤「もちろん選手の気持ちも汲んで決めないとだけど、最終的にちゃんと決めなきゃいけないと思うよね」

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