後藤健生の「蹴球放浪記」第137回「各国語、各国通貨が飛び交うダフ屋の現場」の巻(2)「チケット問題」に揺れたフランス大会の真実の画像
パリで後藤氏が買ったブラジル対チリ戦のチケット 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、多くのワールドカップを観戦してきた。大会の数だけ、感動がある。そして、辛い思いも…。今だから話せる、「時効」の話がある。

■どこでも生まれる駆け引き

 警官の姿が見えなくなったら、さっそくダフ屋再開です。

 こんなことを言ってくる奴がいました。

「オレは、さっき金だけ渡したはずだが、まだ入場券を受け取っていないゾ」

 もちろん、嘘です。まったく、悪党というのはどこにもいるものです。

 というわけで、1986年と1990年大会では僕はダフ屋を何度も行ったというわけです(もう時効ですよね)。

 いずれにしても、試合開始30分くらい前にはスタンドに行かなければなりませんから、ダフ屋は閉店です。

 最後の時間帯に差し掛かると、安値でもできるだけ売り払ってしまわなければなりませんから相場はどんどん下がってきます。試合開始直前、あるいは試合開始後になれば、値段はもっと下がっていくはずで、当然、買い手の方もそれを狙っています。

 確実に入場券をゲットしたければ、早めに高値で購入。そうでなければ、直前に値崩れした時に購入というのが鉄則ということになります。

  1. 1
  2. 2
  3. 3