FC町田ゼルビアが進めるサイバーエージェント流「サッカー界改革」!“卒業生”が他のJクラブに「就職」――「新たな人材育成」COOが語る「抜擢文化」とは?(#2)の画像
FC町田ゼルビア・上田武蔵COO  撮影/後藤勝

 サイバーエージェント社長の藤田晋氏が、代表取締役社長兼CEOに就任。「スピードアップ、スケールアップ」を掲げ、新たにクラブ運営がされる中で「新しい人材育成」を推し進めるFC町田ゼルビア。その内実に迫る!【FC町田ゼルビアの「新たな人材育成」】(#1、2のうち2)

■インターン生はスピード感をもって「戦力化」していく

 インターン生を通常のワークフローに組み込み、正式採用のスタッフと同様の仕事ができるよう戦力化し、“卒業生”を輩出。他クラブに、そしてもちろん自社にと、入社段階で即戦力のビジネススタッフを送り込む。

 2020年末には1名、2021年末に2名の卒業生を輩出した町田のインターン制度からは、2022年末にはには5名が町田、および他クラブのビジネススタッフとして巣立つことになった。サイバーエージェントの経営参画以降に入社した岡田敏郎運営・広報部長が進める、自前での人材育成。それができる秘訣とは――。

 サイバーエージェント本社から出向している上田武蔵取締役COOはこう話す。

「サイバーエージェントには“抜擢文化”があります。とにかく失敗してもいいから自分の身の丈以上のミッションでチャレンジし、常に自分で脱皮をしながら、痛みを伴いながらタフにがんばっていくやつが偉い、というカルチャーがすごくある。そのチャレンジができるような環境をもっと作っていきたいと思っています」

 つまり、いまFC町田ゼルビアが取り組んでいる新しいインターン生制度は、そう意図したものではなかったにもかかわらず、サイバー社の企業風土に合致したものとなり、さらにサイバー社がテコ入れするなかで強化されていっているものなのだ。

「社員もアルバイトも一人ひとりが自主性を持ち、オーナーシップ(当事者意識)を持ちやっていくことが重要です。トップダウンで兵隊のように働かせることもできますが、それでは、自分で考えてアクションを起こし努力していこうという、人としての成長が鈍化していき、やがてやりがいも感じられなくなる。

 一人ひとりがやりがいとやる気を持って働くカルチャー、環境をサイバーエージェントは25年をかけて作ってきましたが、ゼルビアにそれがないかというと全然そんなことはなく、みなさんが前向きに働いてくれている。僕は2020年に入り、それがよりうまくドライブしていくエッセンスをこの3年間注入してきました」(上田COO)

 インターン生のうちに戦力化するスピード感――。上田COOも、「サイバーエージェントも大学4年生から入社ゼロ年目のような感じで週5で働いている子もいる。2年生や3年生のうちから働いているゼルビアのインターン生も、Win-Winでものすごくいいと思います。僕は違和感はないですね」と語る。

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