■日本代表のピッチ外での課題

 自身のYouTubeチャンネルでは、日本代表やサッカー界について忌憚のない意見を投げかける城氏。一方、現在の代表にはメディアの前で注目を浴びるような発言をする選手が少なくなったが、それについて同氏は以下のように語っている。

「大きなことを言う人もいなくなりましたよね。本田圭佑で止まっちゃったんですよね。みんなキャラクターがあるんですけど、押し殺しちゃってる部分もあるし。遠藤(航)なんてすごい面白いやつだし、意外にムードメーカーだったりするんですけど、そういうのも見せないですし。

 今の世代にありがちじゃないですか。内面に気持ちを隠しちゃうっていうのは。でも、そういうのを見せていかないと伝わらないし。

 森保監督ももっと主張すればいいのに、と思いますね。もちろん代表監督だから言葉を選ぶとか、そういうことをしなきゃいけないんでしょうけど、毎回似たコメントだと“この人に注目しよう”とは思いづらいですし。そういうマネジメントの部分は協会も含めてサポートしていく必要があるかもしれないですね」

 そして、かつて日本代表を率い、城氏もその指揮下でプレーしたフィリップ・トルシエ監督の指導を引き合いに出した。

「彼はすごく勉強していたんですよ。日本代表に就任する前から、日本人の考え方やJリーグのレベルとか、いろいろなことを全部分析してやって来て。

 日本人の足りないところ――自分の気持ちを出すとか。“感情的な部分がすごく少ない。そういう部分を変えないと戦えない”と言っていました。それで彼は意図的に大きなジェスチャーをしたり、“なんか言ってみろよ。向かって来いよ”と体を押してきたりしましたね。でもそれも戦略で、ちゃんと話せばすごく温厚な人です。

 だから見せ方ってすごく重要で。政治家の皆さんもそうじゃないですか。話し方の勉強もするし、ネクタイの色を変えて印象を植え付けることもするし。これは当たり前のことなんですよね。だけど、そういうのが日本代表には見られないっていうのが魅力の減少につながっているんじゃないかなと思いますね。

 日本代表に関心を持つ人が少なくなっているので、今大会ベスト8に行けなかったらサッカー人気は相当落ち込むと思いますよ」

 A代表には日本サッカーの人気度が特に色濃く反映される。現在のサムライブルーにはピッチ外の部分でも問題がありそうだ。しかし、いま眼前にあるのはカタールW杯。城氏の言うように、国民のサッカーに対する関心を高めるためにも、まずは目標であるベスト8進出を期待したいところだ。

PHOTO GALLERY ■【写真】取材に応じる元日本代表FW城彰二氏
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