後藤健生の「蹴球放浪記」第131回「インドネシアの悲報で思い出す人生唯一の催涙ガス体験」の巻(2)南米では暴れるファンも鎮圧する警察も「プロ」の画像
スーパークラシコの取材パス 提供/後藤健生

 世界を回っていれば、危険な目に遭うこともある。蹴球放浪家・後藤健生も、リスクゼロで取材を続けているわけではない。今回はインドネシアでの悲報に、南米での危険なゲームを思い起こす。

■小銃を取り出した警察官

 さて、バスに乗ってスタジアムに向かいました。バスの前後に2台ずつの白バイ(警察のバイク)が付いて警護してくれています。

 スタジアムに近づくと、何しろこういう重要な試合ですから群衆が溢れ、また警備体制も実に物々しいものでした。

 そして、こういう状態だと「外国人が大勢乗ったバス」というのは群衆から敵視されるものです。こちらは日本人の団体であって、別にアウェーチーム関係者でも審判団でもないのですが、興奮した群衆は見境なく外国人のバスを襲ってきたりするわけです。

 多くの群衆がバスを取り囲みました。そういう場も何度か経験したことがあるので、僕は「ちょっと危険な雰囲気だな」と思って眺めていました。

 すると、警備に付いていた最後尾の警察官が取り出したのは何だと思いますか。「催涙弾?」 ブッブーッ、警察官が取り出したのはなんと小銃でした。

 バスの前後、各2両のバイクにはそれぞれ2人の警察官が乗っていて、後ろの座席に乗っている警察官がいきなり群衆に向けて小銃を発射し始めたのです。僕は、群衆に向けてバイクの警察官たちが小銃をぶっ放しているという、なかなかシュールな光景をバスの車窓から見物していました。

 もちろん、小銃には実弾が入っているわけではなく、いわば威嚇射撃だったのですが……。

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