■悔やまれる試合への「入り方」

 立ち上がりの連続ゴールを決め、さらに後半1点を追加してハットトリックを達成したピトはスペインのFCバルセロナ所属。3点目を決めたルーカス・ゴメスはブラジル最強チーム、マグヌス・フットサル所属で、ともにワールドクラスの選手だ。

 ブラジル代表は日本のFリーグ・クラブ所属の選手が4人含まれており、必ずしも最強メンバーというわけではなかったが、ピトやルーカス・ゴメスをはじめ「個人能力」という面では日本代表を大きく上回っていた。

 とくに個人戦術の引き出しの豊富さと、余裕のあるプレーぶりは目を見張った。

 たとえば、ピトの先制ゴールである。ゴール正面で縦パスを受けたピトは、左にターンしてマークを外してそのままシュートを決めたのだが、この得点の少し前にも同じようなパスを受けた場面があり、その時は右サイドの味方に簡単にパスをさばいていたのだが、得点場面ではまったく違うボールの処理の仕方をした。これで、日本チームとしては完全に逆を突かれてしまったのだ。

 どの選手もそうした戦術的な選択肢を豊富に持っており、一つひとつのプレーの意図が明確だった。しかも、複数の選手がそうした選択肢を組み合わせてくる。そして、それをスピードに乗った状態で行うのだから対応するのは非常に難しかったろう。

 しかも、日本代表はブラジルをリスペクトしたのか、あるいは気後れしたのか、どこか遠慮がちなプレーでブラジルの選手をフリーでプレーさせてしまったから、ブラジル選手の良さが目立ってしまった。

 ワールドカップでブラジルに食い下がった時は、とにかく全員が献身的に守備を行い、ブラジル選手に自由を与えなかった。

 松江での試合は、試合への入り方が悔やまれるところである。

(2)へ続く
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