大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第96回「ドイツ半世紀」(1)入社1か月で降って湧いたワールドカップ取材の画像
ヨハン・クライフも出場した1974年ワールドカップ 写真:アフロ

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは「ドイツ」。

■いざドイツ「遠征」へ

 飛行機代は信じ難いほど高く、何か博覧会でもあるらしく、ホテル代もやたら高い。出張経費のすべてを自分でもたなければならないフリーランスとしては、しっかり「計算」しなければならない状況だ。しかし数秒考えて、やはり行くことにした。コロナ禍が始まって2年半、帰国後の「待機期間」がようやくなくなった。日本代表の欧州遠征、ドイツでの2試合である。

「遠征」という言葉は、もう使わないほうがいいかもしれない。大軍を率いてインドにまで攻め入ったアレキサンダー大王ならいざ知らず、「遠征」はあまりに「大時代」的だ。実際のところ、日本代表選手の大半は欧州のクラブに在籍していて、各地からそれぞれに試合会場に移動してきて集まり、試合が終わるとまた所属クラブのある町に戻っていく。日本から参加する選手は、多くても5、6人といった程度ではないか。

 しかも日本サッカー協会は「欧州における日本代表の拠点」をドイツのデュッセルドルフに置き、今回はそのデュッセルドルフの「デュッセルドルフ・アレーナ」を使って2試合を行う。主催は日本サッカー協会で、ホームチームは日本。今後どうなるか知らないが、デュッセルドルフでの「ホームゲーム」は定期的になるかもしれない。「アレーナ」は埼スタに次ぐホームスタジアムとなるかもしれない。「遠征」は遠くなりにけりである。

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