後藤健生の「蹴球放浪記」第122回「カタールの歩き方 北の岬で飲んだ緑のコーヒー」の巻(1)中東の街を楽しむ方法の画像
30年前のカタールはこんな田舎町だった! 提供/後藤健生

 いよいよ、心躍るワールドカップが近づいてきた。開催国のカタールは、蹴球放浪家・後藤健生にとって「ドーハの悲劇」など思い出が残る土地だ。欧州や南米のようなサッカーの豊かな歴史に触れることは難しいが、カタールならではの楽しみもある。今回は、ワールドカップ開催国ガイドとなる「カタールの歩き方」だ。

■カタールの楽しみは?

 4年に一度のワールドカップ。大会が近づいてくると旅行の計画を立てるのが楽しみになるものです。

 4年前のロシアでの大会だったら、モスクワ以外の都市はほとんど行ったことがなかったので、カザンとかニジドノヴゴロドといったボルガ川沿いの歴史の古い街を観光することも楽しみでした。サンクトペテルブルグには世界最大の美術館の一つ、エルミタージュ美術館がありました。

 また、サッカーの伝統国での大会だったら、サッカー史に名高い有名なスタジアムを訪れることも大きな楽しみです。

 ところが、カタールが舞台ではそうした楽しみはありません。

 中東のアラビア湾(ペルシャ湾)岸の産油国というのはまったく歴史のない国ばかりです。ドバイやアブダビ、ドーハといった都市は昔は真水が出るオアシスがあったとか、港があっただけの小さな街でした。その地下に、たまたま石油や天然ガスが埋まっていたのが20世紀の前半に発見され、その地を支配していた地方豪族がその採掘権を手に入れて巨万の富を手に入れ、その膨大な収入を注ぎ込んで高層ビル群や巨大な宮殿を建ててしまったというわけです。

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