■17世紀から息づくサッカー

 アメリカは移民の国である。東部に入植したイギリスからの移民がその後の国づくりの中心になった。その影響で、この新天地でも、「サッカー誕生以前のフットボール」から行われていた。驚くことに、その記録は、17世紀初頭までさかのぼることができるという。日本でいえば江戸時代が始まったころである。そして19世紀には、ハーバード、プリンストン、エールなど東部の有名大学で「フットボール」がプレーされていた。

 丸いボールを使い、ドリブルでの攻撃を主体とするゲームをするクラブ、オネイダFCがボストンで誕生するのが1862年。イングランドでフットボール・アソシエーション(FA)が誕生する1年前のことだった。このころ、アメリカは南北戦争(1861~1865年)の真っ最中だった。戦争が終わると、さっそくロンドンのFAが制定したルールを紹介する本が出版され、サッカーは英国系の学生たちを中心に盛んに行われるようになった。

 1885年には東部の選抜チームで最初の「国際試合」が行われている。相手はカナダ。ニューアーク(ニュージャージー州)での試合だったが、0-1の敗戦だった。サッカーの「国際試合」の最初は、1872年のスコットランド対イングランドである。1885年の「アメリカ対カナダ」は、英国外での最初の国際試合であり、欧州大陸に先立つこと17年、南米大陸での最初の国際試合より20年も早かった。

 だがやがて、大学では、アメリカのスポーツをよりアメリカ化しようと、ベースボールとアメリカンフットボールが盛んになっていく。サッカーは欧州大陸から遅れてアメリカにやってきた移民たちの色合いの濃いゲームとなっていく。

(2)へ続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3