■記者の自信を打ち砕いたテスト

 1プレーが終わるごとに、副審はタッチラインの外に置かれたモニターのところに行き、映像を確認する。ボールがけられる瞬間にプレーを止め、オフサイドかどうか確かめるのだ。私には正確に見極めることなど不可能と思われた。DFとFWは全速力ですれ違うだけでなく、副審から見ると、FWはDFより20メートルも「奥」にいるのだ。少しでも見る角度が狂ったら(正確に90度で見なければ)、判定は確実に間違う。

 だがインストラクターとともにモニターを確認し終わった副審たちの多くは満足そうな顔をしてまたタッチラインに戻っていく。相樂副審は私たちの目の前で4、5回トライしたが、すべて正解だった。ちなみに、FIFAの審判インストラクターは取材に着た記者たちに「挑戦状」を叩きつけた。このトレーニングにチャレンジしてみないかと言ったのだ。足だけでなく日ごろから自分の「目」にも絶対的な自信をもつ記者が何人かトライしたが、何回やってもすべて間違いだった。相樂副審はまさに正確無比な「機械」だった。

(2)へ続く
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