流れを呼んだ「左右サイドバックのモチベーション」と飲水タイムまでの「我慢」【それぞれの思惑を抱えたFC東京VS鹿島アントラーズ】(1)の画像
渡邊の得点を小川と長友が祝福する 撮影/原壮史

 先週末のFC東京鹿島アントラーズの対戦は、点差はついたが見応えがあった。また、見どころも多く転がっていた。好ゲームとなった中断期間前最後の一戦を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■緻密な戦術の展開

 5月29日に行われたJ1リーグ第16節のFC東京対鹿島アントラーズの試合は、ヨーロッパ人指導者が指揮するチームらしく、ともに相手のライン間のスペースを利用しようという試みを続け、逆に守備面では相手にスペースを与えないようにと11人の選手が丹念に動き直しを続ける非常に緻密なゲームとなった。

 最近のJリーグでは、多くのチームがこうした緻密な戦術を取り入れており、ヨーロッパのサッカーに近づきつつあるように感じる。

 好天に恵まれた日曜日の午後。2万8436人の観客の前で繰り広げられたのは、インテンシティの高い中で、すべての選手、とくにホームFC東京の選手たちがその持ち味を十分に発揮した素晴らしいゲームだった。

 今シーズン、アルベル・プッチ監督が新たに就任して、ボールをしっかりと保持してパスをつなぐスタイルを確立する途上にあるFC東京。首位争いを続けている鹿島を相手に、しっかりとプラン通りに試合を進めて勝ち切ったのだ。アルベル監督の新しいスタイルのサッカーにも慣れて、試合の状況に応じたプレーを選択できるようになってきている。

 J1リーグは、日本代表の活動のために中断期間に入るが、FC東京としては新監督の下で開幕から約3か月間で作り上げてきたチームの完成度を上げ、課題の修正をするための貴重な時間となることだろう。

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