■得点できていないことが与える影響
川崎は遅攻に特徴があり、相手を押し込んでからの攻撃に迫力があった。特に、かつては左サイドに人を集めて短いパスをつなぎながら相手を動かし、どこかのタイミングでドリブル突破などの勝負に出ていたが、今年は、この形を作っても最終的に攻め切れない場面が散見される。また、ボールを奪われてもすぐにボール奪取する力強さもあった。しかし、今年はボールを取り切れずに保持されることも多い。
この2年で、4人の主力が海外に移籍した。守田英正、三笘薫、田中碧、旗手怜央。いずれも日本代表で存在感を増すような実力者で、その穴が大きいことは間違いない。何より、選手が変わったのだから、当然、戦い方も変わる。チームとして、その最適解をまだ見つけられないでいるように見える。
必ずしも攻撃で圧倒しなければいけないわけではない。堅守を武器に優勝したチームも、当然、過去にはある。ただ、川崎はその圧倒的な攻撃力を武器にJリーグ王者に君臨していた。
湘南と古巣対決となった山根視来は試合後、「最近は点が取れていない」とし、「そのちょっとしたズレみたいなのが、失点をすると少しずつ大きくなってくる」と得点不足が与える影響に言及している。
かつてのように得点を奪えないのであれば、22年の川崎はどう戦うのか。チームは今、その岐路に立っている。