■変わらない自転車操業
ただし、ラ・リーガに突きつけられた数字は、バルセロナの経営が破綻しているということを示すわけではない。まずは1億4400万ユーロを削減しなければ真っ当な経営は不可能である、という指標である。
この数字を解消できなければリーグからはじき出されるというわけではないが、ペナルティーは与えられる。サラリーキャップがマイナスになっているクラブには、「4分の1ルール」と呼ばれる規則が適用される。サラリーキャップがマイナスだった場合、人件費や補強費に費やせるのは全額の4分の1、というものである。
この「4分の1」ルールは、そもそも、コロナ禍で各クラブの財政が破綻しないようにとラ・リーガが施した策だった。この夏、その規制は緩和され、33%が人件費に使えるようになり、9月1日以降は撤廃される見込みだ。
とはいえ、バルセロナの財政がコロナ禍で厳しくなっていたという事実は変わらない。
もちろん、この苦境において、バルセロナもただ指をくわえて状況を見守っていたわけではない。来季からのSportifyとのスポンサー契約が決まっており、男子チームと女子チームのユニフォームの胸スポンサー料として、4年間で2億4000万ユーロが支払われるという。本拠地カンプ・ノウのネーミングライツを含めると、その額はさらに膨れ上がるとみられている。
ただし問題の本質は、年俸の高いメッシらが去ってから1年が経とうとしているのに、依然としてサラリーキャップの問題を抱えているという点にある。バルセロナが自転車操業的な経営をしている感は、どうしても拭えない。