後藤健生の「蹴球放浪記」第108回「由緒あるローカーホテルに泊まる」の巻(2)強風以上の難敵は英国の「東北弁」の画像
サンダーランドの近所、ニューカッスルのUEFAカップでのローマ戦のチケット 提供/後藤健生

 サッカージャーナリスト・後藤健生は、古今東西のサッカーの研究に余念がない。時には百年以上も前に設立されたフットボールクラブの取材に赴くこともある。その豊かな歴史に触れ、サッカーへの思いはさらに深まっていく。

■スタジアムの発展と衰退

 フットボール・リーグ加盟後、素晴らしい成績を収めたサンダーランドAFC。当然のことながら観客動員数が増えていきます。そこで、クラブは大規模スタジアムの建設を決定。ウィアー川の北のローカー地区にローカーパークを建設しました。完成は1898年のことでした。

 初めは木造の小さなスタンドだけでしたが、「ローカーエンド」と呼ばれる巨大なゴール裏スタンドが完成。収容人員は一挙に5万人に拡張されました。

 それまで、ゴール裏の立見席(テラス)は土砂や瓦礫を積み上げた「バンク」と呼ばれる土手を舗装した構造でしたが、ローカーエンドは当時最新式の鉄筋コンクリート造りだったので、全国的にも一躍有名になりました。

 イングランド有数のスタジアムとなったローカーパークは、1966年のイングランド・ワールドカップでも使用され、グループDの試合と準々決勝が行われ、イタリアやソ連が試合をしています。

  1. 1
  2. 2
  3. 3