■時代の変化が生んだアレルギー?

 そして、翌年の春、再び同じような症状に悩まされることになりました。

 当時は、日本ではまだ「花粉症(=季節性アレルギー性鼻炎)」はほとんど知られていなかったのです。1960年代から患者はいたようですが、非常に数が少なかったのです。

 その後、花粉症は日本で急増したのですが、原因はいくつかあるようです。

 スギ(杉)というのは日本原産の針葉樹で、幹が真っすぐに伸びて木材として加工利用しやすいために第2次世界大戦後に大量のスギが植林され、スギの木(=花粉)そのものが増えたのです。

 また、戦後の工業の発展や自動車の急増の結果、1970年代は「公害の時代」になってしまいました。大気汚染も花粉症の原因です。さらに、肉食の普及などによって日本人の体質が変化したことで、アレルギー疾患が増えたとも言われています。

 たしかに、僕は子供の時にひどいじんましんに悩まされた時期がありましたから、もともとアレルギー体質だったのでしょう。しかも、当時(というか子供の時から)僕は東京・新宿区の交通量の多い、大気汚染で有名な交差点の近くに住んでいました。そして、1978年にアルゼンチンに行った時には、毎日のように大量の牛肉を食べていたのです。

 ですから、花粉症の条件が重なっていたのは間違いありません。後から考えれば……。

(2)へ続く
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