■欧州各国での試行錯誤
こうしたゲームの最古のものは、1884年にイングランドのプレストンで考案されたという「TOY GAME OF FOOTBALL」らしい。外見はチェスに似たもので、縦14マス、横11マスの盤面にそれぞれ11人のプレーヤーを模した「コマ」を置き、ルールブックに従ってボールのコマを動かしながら相手のゴールを攻撃した。
第一次世界大戦中の英国では、「TRENCH FOOTBALL」なるものがつくられた。よく知られているように、この戦争の特徴はドイツ軍と連合国軍がそれぞれ総延長700キロにもなる「塹壕(ざんごう)=trench」を掘って長期間対峙するというものだった。その塹壕戦の退屈を紛らわせることを目的としたものだったらしい。ゲームの盤面にところどころ穴がある(これは地雷か)塹壕の蛇行を掘り、盤面を傾けて穴を避けながらボールをころがして盤面最上部の「ドイツ軍将軍」にたどり着いたら1点というシンブルなもの。「これがサッカー?」と言いたい気持ちは、まあ、抑えておこう。
1950年代には、「PIN FOOTBALL」なるものが登場した。元はピンボールである。手前に向けてやや傾けた盤面の右手前からボールを突きだし、針で囲まれた地域にはいって止まると、そこに書かれた得点(5点~200点)や失点(マイナス25点)が記録され、何回かやって総得点を比較しあうというものだった。
下って1981年にフランスで考案された「CHAMPIONSHIP SOCCER」は、やや複雑だった。縦20マス、横12マスの盤面上には1個のボール(底が平たくなっていて転がらない)だけ。2人のプレーヤーは、トランプのようなカードを1枚とり、3個のサイコロを振って、それらの結果で順番にボールを動かし、相手ゴールを目指す。