【アジア・サッカー考察】広大なアジアで試合のレベルを低下させる長距離移動と気候、時差【ワールドカップ予選改善の必要性】(4)の画像
日本代表がオマーン相手の初戦で苦しんだ理由ははっきりしていた 撮影:中地拓也

 日本代表は、今年11月に開幕するカタール・ワールドカップ出場に向かって前進している。2月2日のサウジアラビア代表戦にも勝利して自動出場圏内の2位につけているが、問題もある。ワールドカップでいかに戦うか、だ。
 もちろん上位進出は日本代表次第だが、力を高めるには日々の切磋琢磨が欠かせない。アジア全体で取り組むべき課題を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■厳しい「ヨーロッパ組」の移動

 アジア予選の大きな問題点は、移動距離が大きく、良いコンディションで試合ができないことだ。

 とくに、日本やオーストラリアのようにヨーロッパのクラブでプレーしている選手が多い国の場合は、ホームゲームへの移動が最も厳しいことになる。3月のオーストラリア戦では、両チームの海外組にとっては、ヨーロッパ大陸から地球の裏側のシドニーまで、地球を半周する過酷な移動が控えている。

 日本が初戦でオマーンに屈したのは、シーズン開幕直後で海外組のコンディションが上がり切っていなかった時期に長距離移動を強いられたことが原因だった。長期合宿を終えて、早めに日本に入って準備を重ねてきたオマーンの方が、ホームチームよりはるかに良いコンディションで試合ができたのだ。その後、10月シリーズでは初戦(木曜日の試合)がヨーロッパに近いサウジアラビア(ジッダ)での試合だったこと、11月シリーズでは初戦が格下のベトナム相手だったことに救われた。そして、1~2月シリーズも難しい初戦の対戦相手は弱体化してしまった中国だった。

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