【アジア・サッカー考察】日本代表に甘さをもたらした2次予選での無意味な大勝【ワールドカップ予選改善の必要性】(2)の画像
モンゴル代表相手の大勝は、甘えの生まれにつながったのか? 撮影:渡辺航滋

 日本代表は、今年11月に開幕するカタール・ワールドカップ出場に向かって前進している。2月2日のサウジアラビア代表戦にも勝利して自動出場圏内の2位につけているが、問題もある。ワールドカップでいかに戦うか、だ。
 もちろん上位進出は日本代表次第だが、力を高めるには日々の切磋琢磨が欠かせない。アジア全体で取り組むべき課題を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■南野がゴールを奪えた理由

 日本は1月21日に国内組だけの編成でウズベキスタンとの親善試合を行う予定だったが、オミクロン株の感染拡大の影響でキャンセルになった。中国戦は、いわばその代わりの準備試合となったわけである。

 中国戦は、同時に、シーズンオフ中の大迫勇也やクラブで出場機会に恵まれない南野拓実にとっても試合勘を取り戻すための絶好の機会となった。

 中国戦では、大迫と南野はまったくフィットしていなかった。たとえば、20分のCKの場面でキッカーの伊東がゴール前の密集を避けてペナルティースポット付近のスペースにグラウンダーのパスを入れると、回り込んできた南野がフリーでシュート態勢に入ったのだが、シュートは弱く、ゴール左に抜けていった。この場面だけでなく、大迫も、南野もシュートを撃つことに弱気で、シュートのタイミングを逸してしまう場面が多かった。

 セルティックでのデビュー戦でゴールを決めていた前田大然も、後半に30分以上のプレー時間を与えられたが、プレーに関与する場面そのものが少なすぎた。前田の場合は、若手中心だった2019年のコパ・アメリカ以来のフル代表でのプレーだった。それが、周囲との連携がとれなかった原因だったかもしれない。

 つまり、FWの不調に関してはチームとしての問題よりも、個人的な問題のようだった。そんな、彼らにとっても中国戦でのプレーで試合勘を取り戻すことができただろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3