■スターの国外流出が続くFIFAランクトップ国

 実際のところ、「ベネリーガ」は前例がないわけではない。女子サッカーリーグは2012年から2015年まで「ベネリーグ」として両国合同で行われた。中断されたのは、2か国でのリーグ開催に問題があったわけではなく、クラブが経営困難に陥ったためだった。またアイスホッケーでは2015年から「ベネリーグ」が開催され、両国から6クラブずつ出て、計12クラブでリーグ戦が継続されている。男子サッカーでも…という意見が絶えないのは当然のことだ。

 欧州のサッカーは「格差」が広がる一方だ。「ビッグ5」の年間収益は、1クラブ平均で200億円を超すが、その他の国の1部リーグでは、セミプロの弱小リーグを除外した平均でも40億円程度。「コロナ前」のJリーグ(J1)の年間収益の平均が50億円に近かったことを考えても、いかに格差が大きく、小クラブが苦しんでいるか、理解できるだろう。

 ベルギーは2018年以来FIFAランキング1位を保持し、ワールドカップで優勝してもおかしくない世界の強豪だが、代表選手の大半は「ビッグ5」のクラブでプレーし、国内リーグは慢性的にスターを欠いて関心も高まらない。当然、放映権も高額で売れるわけではなく、現時点では、ベルギーリーグにはいる放映権収入は年間139億円程度だという。現在のJリーグが、番組制作費を含めての額ながらDAZN(ダゾーン)と年間約200億円の契約を結んでいることを考えても、「置き去られ度」は並大抵ではない。

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