■増加していくプロ育成型チーム

 現在の高校サッカーでは、青森山田や静岡学園のように中学部のチームを抱えたり、地元に中学生たちのクラブを立ち上げたりすることで6年間の中高一貫教育を実践して選手を育てる、いわばプロ選手育成を目的とした高校の強さが際立っている。つまり、Jリーグクラブの下部組織とともにUー18年代のプレミアリーグで競い合っている高校である(青森山田は並みいるJリーグクラブと戦って、2021年のプレミアリーグEASTで優勝した)。

 こうした、Jリーグクラブ並みの高校と、一般の学校の運動部として活動している高校では戦力差は明らかなのだ。

 これに伴って、プレミアリーグに所属している高校は一種のシードのような扱いとして、都道府県予選を免除するといったプランも検討されているというが、いずれにしても今後も優勝を争うのはこうしたプロ並みの一部の高校に限られていくのは間違いないだろう。

 ただ、一般の高校も手をこまねいているわけではない。そのことが証明されたのが、今年度の選手権だったのだ。巨人を倒すための方法論も確立し始めている。しっかりと守ってロースコアゲームに持ち込み、そしてカウンターやセットプレーでアップセットを狙うのだ。

 しかも、高校選手権は準々決勝までは80分ゲームで、しかも延長戦なしでPK戦で勝敗を決めるというレギュレーションなので、ジャイアントキリングの可能性は普通の大会よりかなり大きいのである。

 こうして、いくつものジャイアントキリングが起こり、その結果として最後は青森山田の圧勝と言う形で大会は終わったのである。

 さらに言えば、そうしたジャイアントキリングが多発する中で、徹底して勝負にこだわることで、しっかりと勝ち上がってきたところが青森山田の強さなのだろう。決勝戦では割り切って“捨て球”を使い、4対0でリードしているのに後半のアディショナルタイムにはコーナー付近でボールをキープして時計を進めた。その勝利への執念は驚くべきものだった。

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