■徳島の良さは「序盤の様子見と、そこでの分析・対応」
印象的だったのは14分の徳島のフリーキックの場面だ。右サイドでボールをセットした岩尾憲が合図を送るが、おそらくは逆サイドの選手と上手くポジショニングの意思疎通ができなかったのか大きなジェスチャーで指示を出し、最後にはとうとう×印を送ってボールを蹴ることになった。湘南戦でトリッキーなコーナーキックからゴールが生まれたように、セットプレーでの動きがしっかりとデザインされているのが徳島の強みの1つだったが、流れの中だけでなく場面ごとの整理もついていないというらしくない光景を見せてしまっていた。
その後、飲水タイムでダニエル・ポヤトス監督が選手たちを落ち着かせようと試みたものの、岩尾やカカ、福岡将太らが後方から持ち上がろうとしても味方の動きが合わずに手で促しながらプレーする場面が目立ったり、藤田が手を大きく上げて呼び込んでもボールが出てこなかったり、と上手くいかないまま試合は進んでいった。
序盤の様子見と、そこでの分析・対応こそが徳島の良さを出す秘訣だった、ということが、この最終節で逆説的にはっきりしたが、選手たちはだからといって強引にやろうとはしなかった。
1失点目も2失点目も大きな拍手で選手たちを励ましたスタジアムでさえ、3失点目を目の当たりにするとそれまでよりも長い沈黙の後にまばらな拍手が起こるだけになったが、そんな絶望的な状況でも選手たちはあくまでもチームとして、あくまでも今まで通りに試合を続けようとし続けた。