■地図を差し出す運転手
1982年のスペイン・ワールドカップでは開幕戦(アルゼンチン対ベルギー)をバルセロナで観戦した後、グループリーグはバレンシアでのグループ5を中心に観戦する日程にしていました。開催国スペインのいるグループでメイン会場がバレンシアのルイス・カサノバでした。
で、バルセロナから鉄道でバレンシア駅に到着。荷物もあるので、駅からタクシーに乗りました。で、「オテル・ブリストル」とホテル名を告げましたが、運転手は知りませんでした。
これは想定内です。小さなホテルだと、運転手が知らないことはよくあることです。
そこで、アドレスを言ったのですが、それでも運転手は分からないというのです。
まだ、カーナビなどという便利なものはない時代です。こういう時は、近くにいる仲間の運転手に聞くという方法もありますが、運転手はおもむろに地図帖を出しました。「ああ、感心だ。自分で調べるんだ」と思っていたら、運転手は僕に地図帖渡して、「お前調べろ」と、こう言ったのです。