2021年のJ1リーグは、早々に川崎フロンターレの連覇が決まった。一方で、J2降格チームも2試合を残して決定した。大分トリニータ、ベガルタ仙台、横浜FCは、来季をJ1で戦うことはできない。
クラブの行く末を大きく左右するJ2降格は、どうして避けられなかったのか。さまざまな角度から検証する。
今回の対象は、3年ぶり4度目のJ2降格の悔しさを味わった大分トリニータ。
■人件費を直撃する営業収益の少なさ
3度のJ1昇格とともに繰り返された4度のJ2降格のサイクルには、大きな要素が絡んでいる。主力選手の流出である。今季は昨季のチーム得点王の田中達也や岩田智輝、鈴木義宜らの移籍が、大きく響いた。
そうした事態がなぜ起こるのか。理由は、Jリーグ発表のクラブ経営状況を見れば明らかだ。
大分の昨年度の営業収益は17億5600万円で、全18チーム中で最下位のサガン鳥栖(16億4900万円)に次ぐ低い数字だった。最下位を免れたのは、鳥栖が前年度比マイナス9億1200万円という大きな落ち込みを計上したことが影響している。10億円以上の前年比マイナスに陥ったクラブも少なくない中、1億1000万円のマイナスにとどめたことは立派に見えるが、これはそもそも2019年の収益が小さかったためだ。2019年度にJ1に所属しながら20億円に届かなかったのは、大分だけである。
ほとんどのクラブで営業収益の大部分を占めるスポンサー収入にも、脆弱さが露呈されている。昨年度のスポンサー収入は8億6200万円で、営業収益と同様に17位。J1全18クラブ平均の19億5600万円には遠く及ばなかった。昨年度のJ1クラブで、3年連続で10億円に達することができなかったのは、大分だけだった。